2008-01-03
「骨董女」と言う言葉がどこかに出てくる作品をお待ちしています。
タイトルに限らず、本文中のどこかに1回出てくればOKです。
作品の最後に
(「骨董女」ordered by futo-san/text by あなたのペンネーム)
とつけてください。これはお題を出した人への礼儀と言うことで。
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◇ 骨董女
え? 彼女ですか? いましがた帰っていった方。ええ。骨董女。確かにそう呼ばれています。さっきも呼ばれてましたよね。どうしてかって? さあ、お客さんはどうしてだと思います? 骨董を扱う仕事をしているから。妥当ですね。でも違います。骨董品好きだから。うーん。そのこと自体は間違っちゃいないでしょうけど、でも名前がついた理由ではありません。え? 意外と年がいっているから? ああ。あっはっは。お客さん、知りませんよ。ご本人に言いつけちゃいますよ。そうですねえ、確か30歳を少し越えたくらいだったと思いますけど、でも、それで骨董呼ばわりされちゃたまりませんね。あなた、そういうこと言っていると30過ぎた女性全員を敵に回しますよ。しかしあれですね。考えて見りゃ家具や調度が30年たてばそれなりに年季が入ってくるもんですが、人間の場合40〓50年は過ぎないと「年季が入った」って感じはなかなかしてこないもんですなあ。
失礼。脱線してしまいまして。え、何ですって? 住んでいる家が骨董だらけだから。ははあ。いろいろ思いつきますねえ。でもそれは不正解。あたしはたまたま住んでいるところを知っているんですが、ほら一昨年だったか、神社の森の近くにできた大きなマンション、あそこにモダーンな感じで住んでますよ。家具なんかもほらイームズだかなんだかの椅子とかね、ミラノだかどこかの机だとかね、わたしは詳しくないんでわかりませんが、そういうのを写真なんかで紹介している雑誌に出てきそうな、そんな部屋ですよ。えっ? なんで詳しいのかって? ふっふっふ。ご想像におまかせしますよ。
実はお父さんなんだろうって? おやおや。色っぽい方には想像してくれないんですか? まあこんなおじいちゃんですからね。想像しろっていうほうが無理がありますね。いや実際おっしゃるとおり、年齢的にはあたしなんか父親と言ってもおかしくない。付き合う人ならお客さんくらいの年齢の方のほうがふさわしい。え? そこに住む前の家が骨董だらけだったからだろうって? そりゃあそういうこともあるかもしれないけれど、やっぱり名前がついた理由じゃありませんなあ。名前? ああ。苗字か名前をもじったんだろうって? うーん。
お客さん。聞くまでもないことですが、彼女のことが気になるんですよね。「骨董女」って呼び名が妙で気になったからだけだって? そんな誤魔化しちゃいけません。美しい人ですし、とても理知的です。ピアノなんかもお上手で。お仕事でも、かなりできる方のようですよ。素晴らしい女性です。でもね。ああ。やっぱりやめときましょうか。これは言わない方がいいんでしょうかね。え? 聞きたいですか? 本当にいいですか? ひょっとすると聞かない方がよかったと思うかも知れませんよ。
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